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2006年8月22日(火)
【ドリンクチョイスならではの秘蔵酒】 酒楽愉人が書くBlog これまでの酒楽愉人 

スコットランドでは、 ”一日の中に四季がある” という。
恵比寿、ビールやガーデンプレイスを容易に連想させるこの街には、『住む人・働く人・遊ぶ人』 がバランスよく集まる。駅近くの大通りを抜け閑静な路に入り約100歩、”BROWN JUG”を捜し当てると、まずその外観に心躍る。全面窓の『開放感』、外が明るければ早くから飲める『安堵感』、夜が深くなれば宿り木を知る『優越感』と ともにお酒を愉しめる。
店内には 英国調のアンティークな家具が並び、バックバーの2/3をモルトが占有、スタンダードモルトからレア物まで取り揃えられている。
”BROWN JUG”、店名は ”Little Brown Jug(茶色の小瓶)” という曲に由来する。元々はアメリカ民謡で、グレン・ミラー によって編曲・演奏され有名になった曲である。映画 「グレン・ミラー物語」 を観れば、その想いを伺い知ることができるだろう。
「この曲にはグレン・ミラーの愛情が詰まっているんですよね。私も、私なりにグラスの中に愛をそそいでご提供させて頂いております。」 と話すのはマスターの安部(あんべ)氏、ウィスキーエキスパートの資格を持つ。

安部(あんべ)氏が ”特に” 好きなモルト
(左から CAOL ILA 12年 、ダグラスオブドラムランリグ社 SCAPA 14年 、ダグラスレイン社 LONGMORN 27年 1975 、ゴードン&マクファイル社 LONGMORN 1973)
マスターに好きなモルトを伺うと、 「何でも好きなんだけど・・・、何でもいいんですよ ウイスキーなら(笑)。それぞれにそれぞれの美味しさがあるんですよね。」
「それでは、特に好きなモルトは?」 と 重ね、選んでいただいたのはこの4本。
CAOL ILA 12年 : 「アイラでありつつ、突出し過ぎていないモルト。初めてスコットランドへ行った時、カリラの蒸留所を見学して試飲しました。当時15年ものがオフィシャルでしたが、ものすごく美味しかった。『なんじゃこりゃ!』と叫びそうになるくらいに。多分、”空気”の違いでしょうね。」
ダグラスオブドラムランリグ社 SCAPA 14年 : 「印象深いモルト。オークニーは ハイランドパーク だと思っていた。レンタカーがなく、2時間ほど現地で街を歩いた。にわか雪が降り注ぐ中、誰にも会わない。居るのは羊だけ。でも、大地のエネルギーを感じる。荒野じゃなく確実に人の営みがある。蒸留所に着いたら休業中で誰もいなかった(苦笑)。その光景が浮かんでくるモルト。洗練されたモルトではない。個性的でもない。野暮ったいけど優しくあたたかい、そんな味。」
ダグラスレイン社 LONGMORN 27年 1975 、ゴードン&マクファイル社 LONGMORN 1973 : 「長期熟成のロングモーン。これらはね、美味いんですよっ!最近では穏やかなバーボン樽が好きになってきていますね。誰にでもお薦めできます。」
マスターはスコットランドへも足を運ぶ。 「その時々で気になった処へ行っています。モルトは買っては来ますけど、それが目的ではありませんね。”蒸留所の空気感”をビデオで撮影してお客様にも伝えたい、と考えているのですが・・・。」 旅行記は、スコットランド旅行記 2004、2005、2006 を参照のこと。
最近では女性二人で来るお客様も増えているという ”BROWNJUG”、 初めてモルトを飲む人への助言をマスターにしていただいた。 
モルトが初めての方に
(左 THE BALVENIE 12年 DOUBLE WOOD 、THE GLENLIVET 12年 、 右 LAPHROAIG 10年 、TALISKER 10年 、HIGHLAND PARK 18年)
「基本的には好みのお酒を聞きますね。ヒントが出ないようでしたら、飲みやすいモルトを薦めています。」 と 選んでいただいたのがこの2本。
THE BALVENIE 12年 DOUBLE WOOD : 「モルト初心者の方にも抵抗無く飲んでいただけるモルト。」
THE GLENLIVET 12年 : 「香りもありつつ味もあって、アイラに比べると馴染みやすいかと。バーボン樽がメインなので口当たりがやさしい。政府公認蒸留所第1号のモルトなので、シングルモルトのルーツともいえます。」
飲み方についても尋ねると、「ウィスキーはそのまま飲むのがお薦めですが、飲み方に縛られて飲んで欲しくはないですね。好きな飲み方を見つけていただきたい。」
さらに、「様子見として、2杯目にはこれらでしょうか。」 と出していただいたのがこの3本。
LAPHROAIG 10年 : 「どうでしょう。『いってみますか?』 という個性の強いモルト。」
TALISKER 10年 : 「少々クセのあるモルトに挑戦したい方に。」
HIGHLAND PARK 18年 : 「島のウィスキーですが、芳醇な熟成感がある。」
マスターとシングルモルトの出逢いは学生時代、 レストランバーでアルバイトしていたとき。 『当時の CARDHU 』 のキャップを外し、鼻を近づけていった時の衝撃を20年近く経ったいまでも鮮明に覚えているという。

国産モルト
(左から 山崎12年 、白州12年 、白州18年 、余市12年)
「ウィスキーの蒸留所に行ってみてください。白州は行きやすいでしょうね。そして、熟成庫に行って欲しいですね。その香りは脳に記憶されてより美味しく味わえるようになります。それと・・・是非、屋外でモルトを飲んでみてください!”空気”が違いますから。」 なるほど、ウィスキーも ”風土=Food” を体感できるというのか。併せて国産モルトについても話していただいた。
山崎12年 : 「ザ・ジャパニーズウィスキー。グレンリベットがシングルモルト・スコッチのルーツだとすれば、山崎はジャパニーズ・ウイスキーのルーツ。」
白州12年 、白州18年 : 「森。生きている木を感じますね。試飲会が白州であった時、外のテラスで飲んだ味が忘れられません。同じモルトでも飲む場所で味が変わりますね。」
余市12年 : 「竹鶴氏が本当に造りたかったのはコレだったのだろう と思う。」
『熟成期間が長くなると、よりまろやかで芳醇なる』 のがウィスキーの一般論。加えてマスターは言う。 「それより時間ですよ。グラスの中で輝く琥珀色のゆらめき。漂う香りとともにそっと口に含むと、そのウィスキーの故郷の情景が浮かんできます。この瞬間のために、じっと・・・。静かな、でも頑なな情熱が体中に拡がっていくのを感じます。席を立つ前にもう一度グラスを手に取り、そっと鼻を近づけてみてください。そのウィスキーが生きた証がそこに残っているはずです。」
蒸留所へ行きたくなった方は、”BROWN JUG”経由で。スコットランドの郷土料理etc フードメニューも充実、4人掛けのテーブルが3組あり、レストランバーとしての利用も可能だ。
ウィスキーはゆっくり流れる時間とともにある。そして、自分の心をスローダウンしてくれる”空気”が”BROWN JUG”にはある。こんな店で一日の終わりを締めくくりたい。
住所 : 東京都渋谷区恵比寿4-8-10 コンフォートEBISU 1F TEL:03-3473-0249
営業時間:18:00〜2:00 定休日:第一日曜、翌月曜
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