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2006年9月19日(火)
【ドリンクチョイスならではの秘蔵酒】 酒楽愉人が書くBlog これまでの酒楽愉人 

”神田”、駅周辺は 『仕事帰りに1杯』 という店が軒を連ねているが、少し離れると様相は一変、江戸の庶民文化と下町気質を現代に色濃く残したエリアでもある。
淡路町へと抜ける通りに”DEUCE” の看板を見つけ、地階へ降りると防火扉のような入り口が。開くとL字型のカウンターが迎えてくれる。バックバーから天井に至るまで隈無く見渡せばシングルモルト、中でも ”ARDBEG (アードベッグ)” の店であることが判る。
”ARDBEG” は、アイラモルトの中でも1、2番を争うほどの強烈な個性。1度口にすれば、『記憶に残る』 銘柄である。
マスターの菱木氏は、生まれも育ちも東京下町(門前仲町)、銀座でバーテンダーを経験後、1992年に神田で開店して15年目になる。バーテンダーになる前は”和食の板前さん”という珍しい経歴の持ち主である。きっかけを伺うと、

「ビール1杯でも眠くなるくらいお酒に弱かったのですが、 グレンリヴェット を飲んだ時に 『これは別物だ』 と。 バーボン(ワイルドターキー8年) を1本買って訓練しました。初めはキャップ1杯の量から。飲み終わる頃には慣れてきて・・・、25、6歳の頃でしょうか。」
ストレートで飲むウイスキーの奥深さに惹かれていったマスターが ”ARDBEG” を初めて飲んだ時の感想は、 「正直ヒドイと思いました(笑)。」 しかしながら、
「印象に残るウィスキーは、そうあるものではない。その味が忘れられず、書物などで 『どのようにしたらこの味は生まれるのだろう』 と強い関心を持ちました。」
開店初期は、ARDBEG の蒸留所へ行くことを目標に5種類から(当時は凄いこと)、次第に増え、現在では常時30種類以上の ARDBEG が飲める状態にある。
「ARDBEG は、品薄・高価 でお客様へお薦めしにくい銘柄でした。そこで、手軽な PORT ELLEN を売っていました。今では考えられないことですが。」

スタンダード & 菱木氏が好きな ARDBEG
( 左 : ARDBEG 10年、ARDBEG 17年 右 : ARDBEG キルダルトン 1980、ARDBEG コニッサーズチョイス 1974、ARDBEG 1990年蒸留 カスクストレングス )
「ARDBEG を初めて飲まれるのなら、10年 を薦めています。昔は 17年 が主流でしたが、現在は入手困難で困っています。 17年 は比較的穏やかで個人的にも好きな味です。」
マスターが好きな ARDBEG はこの3本。
ARDBEG キルダルトン 1980 : 「ピート香が殆どしない ARDBEG。 ARDBEG 蒸留所が閉鎖する頃、ノンピートとライトピートの麦芽を使用して試験的に限定生産されたようです。」
ARDBEG コニッサーズチョイス 1974 : 「1974年は、私(マスター)が思う当たり年です。」
ARDBEG 1990年蒸留 カスクストレングス : 「思い入れのある ARDBEG 。2003年に蒸留所へ行った時、熟成庫で ファーストフィル のバーボンカスク(1990年物)を試飲させてもらい、とても美味しかった。『どうにか商品化してもらいたい』 との気持ちからインポーターの方に相談して、日本向けに詰めていただいた限定品。」 マスターの想いから生まれた日本向けの限定 ARDBEG は本品だけではない。
実は飛行機嫌いのマスター、念願の蒸留所へ辿り着いたのは開店2年目の1994年。以来ほぼ毎年スコットランドの蒸留所巡りをしている。
珍しい ARDBEG を 店内各所の貯蔵庫から出していただいた。

珍しい ARDBEG
( 左から ARDBEG Andy & Norman 24years old、The WINE SOCIETY の ARDBEG1973y、ARDBEG 1974 Kingsbury Celtic label、ARDBEG 1973 Kingsbury Celtic label )
ARDBEG Andy & Norman 24years old : 「ケイデンヘッド が小ロットだけ瓶詰めした、プライベートラベル。60年代の原酒。とても美味しかった1本。」
The WINE SOCIETY の ARDBEG1973y : 「私(マスター)が未だ2本しか見ていない ARDBEG 。 ロンドンに本拠を置く The WINE SOCIETY のボトリング。」
ARDBEG 1974 Kingsbury Celtic label ・ARDBEG 1973 Kingsbury Celtic label : 「Kingsbury社 によって日本向けに詰められた ARDBEG 。 好みが分かれますね。1974は強い ピート香、1973年は上品な甘味が特徴だと思います。」
「アイラ島 は何処へ行っても良い思いをしています。今でこそ観光客が増えたので整備も行き届いていますが、初回は蒸留所が町工場に見えました。真っ先に行った ARDBEG の蒸留所、働いているのはわずか2人でした。製麦後のモルトがどうしても欲しかった。コンベアー上の ”それ” をかじった時の印象は鮮明に覚えています。やはり現地で良い思いをした蒸留所のモルトは、味の評価に繋がるものですね。」

マスターは言う、「モルトの1本、1本に歴史があります。80年、90年、75年・・・当時は何をしていたのでしょうか? それに、自分が産まれた時のものを口にすることは、さほどないことですから。」
”Bar DEUCE”、一度(ひとたび) 入店すれば 『記憶に残る』 BARである。
「響きも良いし、お店が完成する前に決めていた。」 という店名は 1973年のアメリカ映画に由来 する。
住所 : 東京都千代田区神田多町2-11 岡崎第19ビル B1F TEL:03-3251-0061
営業時間:18:00〜0:00(〜23:00土) 定休日:日曜、祝日
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