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2008年1月16日(水)
【ドリンクチョイスならではの秘蔵酒】 酒楽愉人が書くBlog これまでの酒楽愉人
”菊泉” -滝澤酒造- (埼玉)
Index
1) ”手造り”の麹 ☆
「日本酒 は ”究極の食中酒” だと思います。」
滝澤酒造(埼玉) 専務取締役の滝澤英之(ひでゆき)氏である。
滝澤氏が執筆しているコラム からは、同氏の人間性・日本酒への想いを垣間見ることができる。読みゆくうちに、日本酒の基礎知識が付き、愛着が湧いてくる。
「今日(10/30)から 仕込みが始まりました。(米を)蒸したばかりなので、まだお湯が温かいですよ。」
滝澤氏に蔵を案内いただいた。
「深谷市はレンガの町(産地)で、レンガの建築物が多いのも、(蔵の)特徴ですね。」 
「麹室(ムロ)もレンガで できています。レンガは保温効果と保湿効果が高いので、これからの寒い時期、麹造りをするのに適しているんですよ。」
二重扉を開け 中へ入れていただくと、
「甘い匂いがするかと思いますが、麹の香りです。これが今朝、麹菌を振って、真ん中に寄せたものなんですけどね。」
「最初の麹を造る時はやはり緊張します。失敗が許されない重要な作業ですから。温度の上下が心配なので、夜中も必ずこうやって。 毎日私がやる訳ではないのですが、麹担当の人間と順番で見守っています。」
『子育てに近い?』
「そうですね。実際 ”微生物” を扱っていますから。」 換気口も木製で、機械が見あたらない。
「全く機械を入れずに ”手造り” で麹を造っているのも 珍しいかもしれません。普通酒から吟醸・大吟醸に至るまで、全部この方法(手造り)です。種麹菌(黄麹菌)を入れて振る(写真右上)のです。」
「 『我々の都合で酒造りをしてはならない、麹や酵母の気持ちになって造りをしなくてはならない』 と教わったことがありますが、”究極の言葉” だと思います。 如何に人間と微生物の都合を合わせるか。人間だけの都合でなく微生物の立場になって考えた上で、我々の都合に合わせていくか。というのが一番良いお酒を造る方法なんでしょうね。」

仕込み水について伺うと、「埼玉全体では新潟県に近いような軟水系の水が多いようなのですが、(滝澤酒造の仕込み水は)埼玉県では珍しく硬水です。硬水なので旺盛な醗酵力を如何に抑えるか、が仕込みのポイントになります。」
目指すお酒は、「綺麗で飲みやすいお酒、自我の強くないお酒 を造りたいな、というのはありますね。活性炭に頼りすぎず。 やはり ”食べ物が主役”で、それに華を添えるようなお酒でありたいな、と。現在は様々なインパクトがないと、売れない時代ではあるのですけれど。」
続いて 蔵のお酒 を紹介いただいた。
「1日平均、約2合の日本酒を飲みます。」 という滝澤氏自身の日常酒は
「日本酒の入門編みたいなお酒。”菊” のように香り高く、”泉” のように清らかな酒 ”菊泉” という名前にぴったりのお酒だと思っています。全く加熱殺菌していない”生酒”なので取り扱い(要冷蔵)の問題はありますが、個人的には一番好きなお酒です。お刺身が合いますね。”生モノに生酒は合わない”という人もいらっしゃるのですが。」
フルーティーな香り、キレの良い味。構えず、落ち着いて飲める。
「深谷・熊谷の飲食店で多く扱っていただいています。(飲んでいただいた) お客様から ”美味しいね” と言われた時のうれしさ もあって、余計に ”想い入れ” があるのかもしれませんけれどね。」
「生吟醸 を ”女酒(女性向き)” とするならば、 こちら↓ は ”男酒(男性向き)” でしょうか。」> 
「辛口で、キレの良い、しっかりしている お酒。幾らか純米、独特の酸味 もありますので 生吟醸 よりは飲みにくいかもしれません。」
”純米吟醸” のイメージ(先入観)とは、やや異なるようにも感じた。 しかし、”クセのある酒ほどハマりやすい” もの。
「良い悪いは別にして、酒としては少々”固い”ところがあるかもしれません。”丸くない”と言いましょうか。うち(滝澤酒造)の酒 は全体的にその傾向(割と熟成が遅い)があります。菊泉の ”秋上がり” の時期は比較的遅く、11月上旬くらいから酒の味が乗ってきます。」
「瓶の状態で加熱殺菌して、5℃の冷蔵庫で貯蔵しますから状態が良いですね。味が良く乗っています。熟成が緩やかなので、味のバランスも採れています。大吟醸の割に香りは抑えめです。この古酒ならば ”量飲める” かもしれません。」
ホッとする、安堵感にも 似た味わい、余韻。
日本酒について、 「一番の魅力は ”味”、醸造酒の中でも ”味” があるお酒だと思います。醸造酒と蒸留酒で決定的に違うのは ”味” だと思うのです。」
というのも、「蒸留酒と日本酒を比べたときに、”味の幅” という面では日本酒の方が上だな、と。私の言葉ではないのですが、食べ合わせという意味においても、日本酒 は ”究極の食中酒” だと思います。」
BEER、洋酒にハンバーガー、”欧米化” している飲・食文化を今こそ原点回帰 ?! 「チューハイは ”お酒の入門”で、日本酒は ”お酒の奥義” かと。その中でも割と とっつきやすい日本酒を造っていきたいと思います。まずは、日本酒の”良さ”、 次に 埼玉のお酒の”良さ” を認識していただきたい。その上で、”菊泉” を ご愛飲いただければ。」
菊泉の仕込みスタッフは、滝澤氏含め4名。 「手造りのリスクはありますが、機械を入れて安定した麹(菌)ができても ”面白味”が無いかと・・・。」
滝澤酒造の日本酒 は ”工業製品” ではなく、”魂の宿った作品” である。
創業144年。全国新酒鑑評会では、平成16〜19年の間4年連続(通算9回) 「金賞」を受賞している。
手造りにして菊のように香り高く、泉のように清らかな酒を造ること。それこそが滝澤酒造の菊泉たる所以(ゆえん)。
住所 : 埼玉県深谷市田所町9-20
滝澤氏に ”他の蔵で好きなお酒”、”飲食店” を 紹介いただいた。
・島岡酒造(群馬泉): 「個性派、”味の幅” があって奥深い。私と同世代の専務取締役である島岡利宣(としのり)氏と人間的な付き合いがあるから かもしれません。」
・石川酒造(多満自慢): 「大学を卒業後、お世話になりました。酒造りの面白さ・奥深さを知り、影響を受けた蔵だけに ”想い入れ” があります。」
・齋弥酒造店(由利正宗): 「本当に良い酒だと思います。酒質(しゅしつ)が安定していて、何時(の季節)飲んでも良いお酒。」
・うりんぼう(飲食店) : 「人任せではなく、埼玉の酒蔵を1件1件廻り、埼玉の地酒を丁寧に売っていただいている。」
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